ラストシーンが知りたい

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心と躰が、はがれてゆく・・・「隣人13号」 あらすじと結末

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解説

井上三太の同名タイトルの伝説的コミックを映画化したネオ・サイコ・サスペンス・ムービー。
監督はミュージック・クリップで腕をならしてきた井上靖雄。
背筋が寒くなるほどの凶暴な13号を演じる中村獅童は迫力満点
2つの人格を、それぞれ中村獅童&小栗旬が演じるのも話題。
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あらすじ

かつていじめられっ子だった村崎十三(小栗旬)。
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小学生の頃、十三はいつもクラスメイトの赤井トールに苛められていた。ある日の午後、赤井は仲間に十三を床に押さえつけさせ、顔の上で硫酸のビンのフタを開けた。
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もがく十三の脚が赤井を蹴る。そのはずみで、赤井の手のビンから硫酸がこぼれ、十三の顔が焼けるジュッという音。上がる悲鳴、赤井と仲間たちはそのまま逃げる…。10年後、2階建ての中古アパート、平和荘の13号室に引っ越してきた十三。その真上の23号にも、ちょうど引っ越してきたばかりの一家の姿がある。
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それは、成長した赤井(新井浩文)の家族だった。
高校時代を通して暴走族“犬”のヘッドとしてあらゆる悪事を働いてきた赤井だが、結婚して大工として働き始め、今では幼い息子もいる。だが十三は、今でも赤井へ復讐する機会をずっと狙ってきた。
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その日々が、十三の中に別人格を生み出していた…。自らを“13号”と呼ぶその分身“13号”に導かれた十三は、赤井の勤める建築会社に新人として入る。
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職場で赤井は、同僚の関(石井智也)が会社を辞めるかどうかで毎日賭けをしており、彼をずっといじめている。関は新入りの十三に親切にするが、それが気に食わない赤井は事故に見せかけて十三の脚を角材で殴りつける。痛みに我慢できず十三はトイレに駆け込んで泣くが、赤井はトイレのドアを外から押さえつける。ドアを開けようともがく十三。その必死の状態の中、追いつめられた十三は、“13号”(中村獅童)に変わってしまう。“13号”はもの凄い力でドアに蹴りをいれ、赤井が吹っ飛ぶ。出てきた時は十三の姿だが、赤井と関は “13号”の姿を一瞬見るのだった。
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その日、早退した十三の部屋に、赤井の妻・のぞみ(吉村由美)が引越しの挨拶にきた。息子の勇気とのぞみが買い物に出かけた隙に、十三は“13号”に変わって赤井の部屋に堂々と忍び込む。部屋の中を物色した挙句、盗聴器をこっそりと仕掛けていく…。夕刻、十三を心配して関が訪ねてくる。話をしているうちに打ち解けた十三は、関に、自分が子供の頃、赤井に苛められていたこと、その復讐をしようとしているという「秘密」を告げる。そして、自分の中に“13号”という別人格が存在することも…。関が帰った後、十三は昔の思い出がフラッシュバックして“13号”に変わり、ひとり叫ぶ。隣の部屋の男、金田(三池崇史)が「うるさいよ!」と怒鳴り込むと、“13号”は金田の部屋に押し入り台所包丁でメッタ刺しにする。
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翌朝、関は赤井に十三のことを話そうとするが、赤井は無視。昼休み、十三が関のところへくる。
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「君はいいやつだなあ…」“13号”は、バールで関を殴り殺す。死体は建築現場の床下に隠される。夜、のぞみが実家からのみかんのおすそわけに、再び十三の部屋にやってくる。十三はお返しに、旦那と映画のチケットを2枚のぞみに渡す。「僕が勇気くんを預かりますから」。翌日、のぞみは勇気を十三にあずけ、赤井とふたりで映画に出かける。だが十三の意識は、その頃ほとんど“13号”の邪悪さに乗っ取られようとしていた。
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結末

後日、赤井夫妻は映画へ、そして、十三とユウキは遊園地へと出かけた。
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その夜、帰りが遅いと心配して赤井夫妻が十三を訪ねると、部屋のドアは開いているものの、人は誰もいなかった。
そこにあるのは、血と、ビデオカメラと、卒業アルバムと、紙切れ。
イヤな予感が、彼らを襲う。
ビデオを再生してみると、怯えるユウキに13がカッターナイフを突きつけている映像が流れた。
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そして赤井が卒業アルバムに目をやる。
クラス全員で撮った卒業写真、横に書かれている名前・・・・・
ここでようやく赤井が、彼があの「村崎十三」だと気づく。そしてこの復讐劇の理由にも。

「何年前の話だよ・・・っ!!」

赤井はそう叫ぶと、「同窓会のお知らせ ●●小学校にて」と手書きで書かれていた紙切れを持ち、走った。
紙には赤井の顔写真のコピーが貼ってあったが、黒く、塗りつぶされていた。
小学校に着く前、赤井は昔のツテで銃を手にしていた。
暗い廊下を進み、行き着いた明るい部屋は、あの理科室だった。
すると目の前に、何かが飛んでくる。
反射的にそれを撃つと、ただのバッグだった。
そして飛んできた先には、13がいた。
赤井は銃を、13は真剣を持って戦う。
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途中、またも奇声をあげたり、自分の足を刺したりと、13はやはり狂気じみていた。
そして赤井が13を撃つ前に、13は赤井から銃を取り上げる。
一気に13が有利な体勢となった。
13が赤井へと銃を突きつける。
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あの小学生のときの光景が、フラッシュバックした。
あの頃とは、逆の立場。

「そっちの気分はどうだ?」

13は問う。

「・・・・・ユウキはどこだ」

赤井はその質問に何も答えない代わりに、そう聞いた。
そして13はその場に似合わないあっけらかんとした声で答えたが、
それはあまりにも残酷な言葉だった。

「カバンの中。」

「・・・!!!」

赤井が顔を青ざめさせ、這いずってバッグに近寄ると、恐る恐るファスナーを開けた。
かすかな期待に反し、そこには、紅く染まった小さな腕が見えた。

「やりすぎだろ!」

と絶叫する赤井。
「うそだろ・・・俺が・・俺が撃ったのか・・?お前が撃ったんだろ・・?」

13は無言だった。
また、昔の記憶がよみがえる。
しかしそれは不思議なものだった。
今と同じように、立っている十三と、驚いたようにそれを見上げて座っている赤井。
そして、床には割れた花瓶・・・。
相変わらず銃を突きつけられたままの赤井は、また、お前が撃ったんだろうと問う。しかし



「・・・お前が撃ったんじゃん?」

笑いながら、

「お前が、壊したんだよ」

そう、13は言葉を繋いだ。
しばらく空を見ていた赤井だったが、ゆっくりと、座りなおし、こう言った。

「ごめんな」

13はまた奇声をあげ、理科室を走り回った。
また、不思議な「過去」とそれはシンクロする。
過去の十三は、ゆっくりと、理科室を出て行った。
泣きながら廊下を歩く。校庭ではもう、同じクラスの連中が、集合写真を撮ろうと並んでいた。

「村崎!遅いぞ!はやくその隣並べ!」

「はい、すみません、すみません」

自分も、その列の中に入ったそのとき、声がした。

「おいどけよ!俺も入れろ!」

赤井だった。
そして全員が揃ったところで、シャッターは切られた。

道の向こうから、学ランを着た赤井と、いつもイジメのときに一緒にいたその取り巻きを含む4人が笑いながら歩いてくる。
その中に、十三の姿もあった。
十三はふと、あるマンションの前で足を止める。
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それは解体工事の真っ最中だった。
「13」と書かれたドアが取り外されて横になっている。
その向こうにあるであろう部屋は暗闇で、
その中に、あの「13」の姿が見えた。

「・・・」

「おい村崎!行くぞ!」

遠くから赤井の声が聞こえる。
そして十三はそこに13を残し、赤井の元へと走り去った。
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ラストの考察

ラスト、中学生の十三が取り壊しのアパートを見ると、そこには13号がいる。実はこの冒頭とラストには密接な関係がある。
不吉な「13」という数字。それは十三の名前であり、部屋番の「13」である。しかしラストでパラレルワールドを見せられた観客は気付く。中学生の十三、13歳?
荒野に建つ小屋と取り壊しのアパート。人が住んでいないという共通性、「荒れた」という心象の象徴。もちろんラストで平穏を享受する中学生の十三にとって「荒れた」心はもうない。13号は「荒れた」地に取り残され、いや置き去りにしたのだ。
「もういらない」と。比喩的ではあるけれども「荒れた」場所に13号は存在する。それは十三が困ったときに思わずこう言った台詞からも伺える。

「出てきて、13号」
13号は別人格でありながらも、やはり十三が作り出したものであり、かつ必要不可欠なもの。十三自身は拒否しつつも、一方で自分のために13号を利用していたのだ。小屋もアパートも引きの画でカメラは捉えている。しかも長回し。その視点は神のように思えるが、そうではない。これは社会で暮らす我々一般の視点なのである。
それは「無関心」という名の視点。
殺害シーンを思い出して欲しい。それは全て引きの画で撮影されている。異様な緊張感に包まれ、観客は固唾を呑んでいる。
「これから殺人が行われるのだ」と。
しかし観客は何も出来ない。でも見ている。その視点なのだ。
「無関心」は映画の中の世界でも見受けられる。関(石井智也)が建築現場で殺害されているとき、通りの前を原付が走る、しかし気付かない。子供が遊園地で怖がっている、係員が声をかける、しかし気付かない。それは仕方のない事だ、後になって「そうだったのか」と驚愕する。そういうものだ。
しかし同じ場所にいるにもかかわらず、その時点での平穏さと恐怖感との落差は激しい。それは不公平なのか?単なるラッキーとアンラッキーなのか?
先に暴力の是非を論じたが、一番恐ろしいのはそれを見て見ぬふりをすること。「無関心」を装うこと。「知らなかった」といって許してもらうことなのだ。知らぬうちに観客が共犯者になっている事を、このラストは教えてくれる。
我々も13号をどこかへ置いてきただけなのだ、と。
迎えにいけば、手を差し伸べれば、彼はすぐにでもこちらへやってくる。「無関心」を飛び越えて・・・。

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